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木彫は言うに及ばず、その中に秘められた全てが
神の領域です。世界一巨大、そして世界一繊細。
ドイツ、シュナイダー社製
2014年4月 修理完了
近藤様(東京都杉並区)
高さ約 160 横幅 90以上
この上ない、大きなドイツ製のカッコー時計です。
どこまでも、見えない細部まで、素晴らしい木彫が
重なるように築き上げられた当に最高傑作の一つ
写真では伝えられない迫力を、少しでも伝えたくて
このような角度から撮影致しました。
小さく写っていますが、長いスイッチ全体を入れたためです
世界一大きく精工なドイツ製のムーブメントです
メインムーブメントを半分に切断、改造したサブムーブメント
セカンドオルゴールの駆動と起動の為だけに使われます
メインのオルゴールは3曲。一般的な鳩時計のそれは、2曲分を1回転に入れるので
短い時間しか鳴りません。しかし写真の下半分に見える段付き車を3段階に回し送り
ピンの位置を変えるため、ドラム1回転分に刻んだ長いメロディを演奏できるのです。
セカンドオルゴールは2曲。こちらのメロディ切替えはシンプル、そしてお見事!
★オルゴールの修復(びりつき)
オルゴールには、数十本の鍵盤があります。
それをピンが弾いて音を出しますが、連続した
演奏時、次のピンに鍵盤が当たって「ビビッ」
っと嫌な雑音が出るため、特殊な素材の細い
消音材が鍵盤の一本一本に強固に接着され
美しい音を保っているのです。しかし長い間に
磨り減って機能が弱まり、少しづつびりつきが
生まれます。長い根気との戦いになりますが、
一本一本の消音材を顕微鏡下で修復します。
今回の修理で最大の課題がこのボロボロに朽ちたふいごでした。
時計にかけた期間が数日だったのに対し、数ヶ月の思考錯誤を
続けなければなりませんでした。何故ならば、同様の材質では、
恐らくその寿命は1〜2年がやっとでしょう。なんとか数年かもっと
更に長い期間壊れないようにしたかったからです。いやどうしても
高い耐久性を与える必要があるのです、この時計に限ってです。
単に重さが数十キロで巨大なだけでなく、全身が木彫で覆われ
床にただ置くことさえ困難です。壊れたらまた直せばいい、とは
気軽に出来ない、修理困難の極まりない時計だからなのです。
ポリプロピレンと極薄の特殊なシリコン板を組み合わせたうえ、
数十回のセッティングを繰り返して仕上げられた自信作です。
これが何かお分かりですか。
ほとんどがプラスチック製で、手のひらに乗る大きさ。
見るからに精密で高価な雰囲気のオルゴールと比べ
場違いの存在にさえ思えます。しかしこの小物こそが
世界一巨大な鳩時計の命なのです。
これは何と、鳥です。
素材はプラスチックでありながら、赤いカナリアのように囀ります。
時に小さくまた小刻みに早く鳴く声が、最後は切なく歌うのです。
と言っても想像出来ないでしょうから、別な言葉でご説明します。
モーターは定速で回りますが、囀りの二重歯車に刻まれた溝は
絶妙な深さと間隔に仕上げられている為、左側の透明な筒では
音程を、また右側のふいごでは音量や抑揚を自由自在に変え、
生きた小鳥の鳴き声を出すのです。しかもそれは単独ではなく、
2台の最高級オルゴールを従えてのオーケストラコーラスとして
さあ、それでは舞台裏の実況を始めましょう!
普段は,、長い長い振り子が見えない所でゆっくり左右に
「コチ」「コチ」の微かな音だけです。やがて30分になると、
「カチ」っとスイッチ音のあとに、右側の扉が開き鳥が出て、
「コッコウ」と一回だけ鳴いて戻ります。
そして約5分前、「コチッ」っと、はっきり聞えるスイッチ音がします。
白い長針はゆっくり、ゆっくり真上を目指しやがて、その時が来ます
右側の扉から出た鳥が時を告げ、「コッコウ」「コッコウ」「コッコウ」
そして「コッコウ」。「パシッ」っと扉を閉めて鳥は戻って行きました。
やがて控えめに、ゆっくりとメインオルゴールが演奏を始めます。
幾重にも重なる微妙なタイミングの美しい音色にうっとりしていると
フィナーレを迎えて…
その時です!、どこからともなく小鳥が囀り始めます
「ピチピチ」「ピーピーピーピー」と同時に、セカンドオルゴールが
追いかけて鳴り始め、しばし、追いつ追われつの競演!競演!
そして、いつのまにか左側の扉を大きく開けて出ていた人形が
余韻の中、静かに奥へと戻って行くのです。
SCHNEIDER KUCKUCKUHREN
★機械式(錘錘及び、ゼンマイ)★電池式★電子鳩★クオーツのカッコー時計の修理
Machida
city Tokyo japan
カタログ
橋本時計店では、ドイツのSCHNEIDERシュナイダー社製カッコー時計(鳩時計)カラクリ時計はもちろん、舶来時計と呼ばれた小さな南京虫(ゼンマイ式アンティーク腕時計)のオーバーホールから、大きな大型振子時計(フロアクロック、ホールクロック別名グランドファーザークロック)の出張修理。また、ウォルサムなどの懐中時計や、鳩時計、昔の置き時計(ウエストミンスターチャイム)、柱時計の愛称(壁掛け)掛け時計、いわゆる古時計を修理します。更にブローバやオメガの音叉式腕時計。音叉掛時計やクオーツでない古いタイプの電子時計、電気時計もオリジナルを変えずに修復修理いたします。年中無休です。
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